「学生の頃の年金、親が手続きしてくれていたはず」——そんな記憶はありませんか。
子育てで仕事を辞めていた時期、保険料を払っていなかったかも、という方もいらっしゃいます。
実は納めていない期間のぶん、将来受け取る年金は少なくなります。
でも、あきらめるのはまだ早いのです。
60歳からの5年間に使える年金の「任意加入」を知っているかどうかで、一生受け取る年金額が変わりますよ。
気になるところだけ読んでも大丈夫です。
国民年金は20歳から60歳までの40年間|空白があると受給額が減ります
国民年金は、20歳から60歳までの40年間(480か月)納めることで満額になります。
480か月のうち納めていない月があれば、その月数のぶんだけ将来の年金が目減りします。
50代の女性に多いのが、学生時代、結婚・出産での退職、転職の合間、自営業だった時期の空白です。
「あら、私もあるかも」と思った方、決してあなただけではありません。
納めていなかったことが悪いのではありません。
埋められると知らないまま65歳を迎えるのが、もったいないのです。
「学生納付特例」と「免除」と「未納」はどう違う?|年金額への反映

ここで正確に整理しておきますね。
大学生のときに使った手続きは、多くの場合「学生納付特例」です。
学生納付特例は、受給資格期間(年金を受け取る権利に必要な10年以上の期間)にはカウントされます。
ただし、後から納める「追納」をしない限り、年金額には一切反映されません。
一方、全額免除は国庫負担のぶんが年金額に反映されるため、まったくのゼロにはなりません。
後から納められる期限も違います。
学生納付特例と免除は10年以内の追納。
そして手続きをしないまま払っていない「未納」は、2年以内までです。
追納の10年を過ぎてしまった方、あわてなくて大丈夫!
次にご紹介する「任意加入」という制度が残っています。
年金の任意加入とは|60歳から65歳まで最大5年間、穴を埋められます
任意加入は、60歳から65歳になるまでの最大5年間、自分の意思で国民年金に加入して保険料を納める制度です。
追納の期限が過ぎてしまった学生時代や退職期間の空白も、任意加入なら埋め合わせできます。
毎月払うほか、まとめて前納することもできます。
手続きは、お住まいの市区町村の窓口か年金事務所です。
保険料の納付は口座振替が原則になっています。
任意加入が使えない人・加入の上限|すでに満額の方は加入できません

すでに480か月納め終わって満額に達している方は、任意加入できません。
埋められるのは空白の月数分までです。
たとえば空白が6か月なら、6か月納めた時点で終了になります。
逆に空白が5年以上ある方でも、納められるのは最大5年までです。
また、60歳以降も会社で厚生年金に加入して働いている方は、二重加入になるため任意加入は使えません。
主に想定されているのは、60歳以降にお勤めをしていない方や、パートで扶養に入っている方です。
任意加入はいくら払って、年金はいくら増える?「10年で元が取れる」考え方

国民年金保険料は月額1万7,000円前後、年間にすると約21万円が目安です。
保険料は毎年度改定されますので、最新の金額は日本年金機構の公式サイトでご確認くださいね。
1か月分納めると、将来の年金は「満額の年額÷480」ぶん増えるとお考えください。
月1万7,000円台の保険料に対して、増える年金は年間1,700円前後というイメージです。
あくまで概算ですが、「払うのは月額、増えるのは年額」なので、割に合わないように見えますよね。
でも、増えた年金は亡くなるまで一生続きます。
単純計算で、およそ10年受け取れば納めたぶんを回収できることになります。
公的年金には元本割れの心配がありませんので、銀行に預けておくのと比べても、確実性の高い増やし方だとボクは思います。
なお、納めた保険料は社会保険料控除の対象になり、その年の所得税・住民税が軽くなります。
一方、増えた年金は雑所得として課税対象になります。
任意加入は損か得か|年金受給が始まる65歳からの平均余命で考える
近年の平均寿命は、男性が81年台、女性が87年台で推移しています。
平均寿命は毎年公表される簡易生命表で更新されますので、最新値をご確認ください。
大事な補足がひとつあります。
平均寿命は0歳時点の平均余命であり、65歳まで生きた方のその後の平均余命は、平均寿命より長くなります。
つまり、65歳から10年受け取る可能性は決して低くありません。
とはいえ寿命は誰にも分かりません。
手元の預貯金に無理のない範囲で判断しましょう。
60歳以降も働く方の年金|厚生年金でも「1階部分」は増えます

再雇用などで厚生年金に加入し続けている方は任意加入できません。
でも、年金を増やせないわけではないので、ご安心ください。
厚生年金は2階建てで、1階が国民年金にあたる部分です。
厚生年金に加入し続けると、1階部分の空白も自動的に埋まっていきます(経過的加算といいます。用語は覚えなくて大丈夫ですよ)。
すでに満額の方は1階部分は増えませんが、報酬比例の2階部分は加入したぶんだけ増えます。
ですから「損」ではありません。
厚生年金は70歳まで加入できます。
60歳定年でも、最長10年は働きながら年金を積み増せます。
保険料も年金額も毎年変わります|最新情報の確認先はここ

国民年金保険料も満額の年金額も毎年度改定されます。
記事の金額は目安として、最新の公表値をご確認ください。
確認先は、日本年金機構の公式サイト、ねんきんネット、そしてお近くの年金事務所です。
税金への影響や、ご自身が任意加入の対象かどうかは、個別の事情で変わります。
窓口で確認するのが確実ですよ。
任意加入の手続き前にまずやること|年金の「空白期間」を確認しましょう
第一歩は、未納・免除・学生納付特例の期間がどれだけあるかを知ることです。
ねんきん定期便は毎年、誕生月に届きます。
届いたら、納付月数の欄を見てみてください。
ねんきんネットなら、パソコンやスマホで納付記録を月単位で確認できます。
見方が分からないときは、基礎年金番号が分かるものを持って年金事務所へどうぞ。
「私は任意加入を使えますか」と聞くだけで大丈夫です。
おわりに|年金の任意加入は申請しないと使えません
公的年金は申請主義です。
こちらから聞いて動かない限り、「あなたは任意加入が使えますよ」とは誰も教えてくれません。
任意加入は、リスクの少ない形で一生続く年金を増やせる、数少ない方法です。
使える方と使えない方がはっきり分かれますので、まずはご自身の記録の確認から。
ねんきん定期便を開く、ねんきんネットにログインする、年金事務所に電話してみる。
小さな行動が、この先20年30年の受取額を変えます。
分からないことは、恥ずかしくありません。
聞きまくって、確認しまくって、動いた方だけが受け取れるお金がありますよ。

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