「若いころに勧められるまま入った医療保険、いまも引き落とされているわ」——
通帳を眺めて、ふとそう思ったことはありませんか。
退職して収入は減ったのに、保険料だけは現役時代のまま。
そんな声を、本当によく聞きます。
今日はボクが、自分の母に話すつもりで「医療保険は本当に必要なのか」を、公的制度である高額療養費制度の中身とあわせてお伝えします。
いきなり解約しなくて大丈夫ですよ。まずは知ることから始めましょう。
退職金などまとまったお金が入ったときこそ、財布の紐を締めましょう

ご近所に、新築のお家が増えていませんか。
ボクの住む古い町でも、最近ぽつぽつと建っています。
不思議なもので、新築の車庫には「新しい車」が並ぶことが多いのです。
大きなお金を動かすと、10万円が急に小さく見えてしまうんですよね。
ボク自身、建売の家を買ったときに「カーテンも家具も、この際いいものにしちゃおう」と勢いで揃えてしまいました。
いま思えば、セールスにうまく乗せられていたなあと反省しています。
50代以上の方にとっては、退職金や保険の解約返戻金が、まさに同じ場面です。
まとまったお金が口座に入ると、金融機関から営業のお電話がかかってくることもあります。
「これは、本当に払っていいお金かな」
こう一度立ち止まる習慣があるだけで、守れるお金があります。
「月15,000円の医療保険が家計を圧迫している」というご相談

先日、こんなご相談をいただきました。
「若いころによく分からないまま加入し、月15,000円の医療保険をずっと払い続けています」という内容です。
医療保険は、入院1日あたり5,000円といった形で給付されるものが一般的です。
再雇用になって収入が下がっても、保険料は下がりません。
これ、なかなかしんどいですよね〜。
結論を先にお伝えします。
医療費は、基本的に貯金で備えれば大丈夫だとボクは考えています。
保険は「安心だから」という理由で入ると、長い目で見て払った額より受け取る額が少なくなりやすい仕組みです。
そうでなければ、保険会社は商売として成り立ちませんよね。
高額療養費制度とは?1か月の自己負担はいくらが上限か

ここで正確に整理しておきますね。
高額療養費制度とは、同じ月の医療費の自己負担が一定額を超えたとき、超えた分があとから払い戻される制度です。
よく「国が負担してくれる」と言われますが、実際に支給するのは加入先の医療保険者です。
協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険などですね。
年収およそ370万〜770万円の区分では、上限額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」です。
おおよそ月8万〜9万円台に収まるイメージになります(あくまで目安です)。
70歳以上の方や住民税非課税世帯は、別の区分・別の上限額になります。
ご自身がどの区分にあたるかは、一度確認してみてくださいね。
また、マイナ保険証や限度額適用認定証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までで済みます。
事前の手続きで数十万円を立て替える必要がない、というのは大きな安心ですよ。
4回目からさらに自己負担が下がる「多数回該当」をご存じですか

直近12か月のうちに3回以上、高額療養費に該当した場合。
4回目からは上限額がさらに下がります。
所得区分にもよりますが、たとえば月44,400円まで下がるケースがあります。
「毎月8万円が1年続いたら100万円」という不安は、この仕組みでかなり和らぎます。
この多数回該当まで説明してくれる保険の窓口は、正直あまり多くありません。
知らないままだと、もったいないですよね。
2週間入院したら医療費はいくらかかって、いくら戻る?

厚生労働省の統計では、平均在院日数は病床の種類によって大きく違います。
一般病床は概ね16日前後、全病床の平均では20日台後半という数字が出ています。
数字を見るときは「どの区分の平均か」に注意してください。
では、2週間の入院で月をまたがなかった場合を考えてみます。
自己負担は上限額の8万〜9万円台で収まる計算です(概算です)。
一方、入院1日5,000円の医療保険なら、14日で70,000円ほど。
月15,000円の保険料を1年払えば、180,000円です。
1年分の保険料を並べてみると、温泉旅行に何度か行けてしまう金額なんですよね。
ただし、食事代や差額ベッド代は高額療養費の対象外です。
ここは正直にお伝えしておきます。
医療保険の解約が怖い方へ|まずは「サイズダウン」(減額)から

ゼロにするのが不安なら、減額(保障のサイズダウン)という方法があります。
月15,000円を月5,000円程度の保障に下げるやり方です。
浮いた月10,000円を、新NISAなど将来のための積立に回す。
これも立派な選択ですよ。
解約や減額の手続きの前に、確認したいことを挙げておきますね。
- 解約返戻金があるかどうか
- 健康状態によっては入り直せない可能性
- いま加入している保障の中身
気になるところだけ読んでも大丈夫ですよ。
保険に払ったお金は、保険にしか使えません。
でも貯金なら、医療費にも旅行にもお孫さんのお祝いにも使えます。
判断の目安は「自己負担の上限額の1〜3か月分を、貯金でまかなえるか」です。
保険会社にこう言われたら、確認したい3つのこと
1つめ。
「差額ベッド代がかかりますよ」と言われたら、「この地域の相場は1日いくらですか」と具体的に聞いてみましょう。
なお差額ベッド代は、病院側の都合で個室になった場合は原則として支払い不要というルールがあります。
2つめ。
「保障されないものもありますよ」と言われたら、自分がそれに当てはまる確率を一緒に考えてみてください。
3つめ。
がん保険や個人賠償責任保険も、同じ視点で見直せます。
ボクは教員時代、月1,000円の保険に10年入り続け、100,000円以上払いました。
20代でのがん罹患率を考えたら、本当に不要な保険でした…(T-T)
振り返ると、その10万円で家族と旅行に行けたなあと思います。
納得したうえで加入するのは、もちろんアリです。
大事なのは、分からないまま払い続けないことですね。
⚠️高額療養費の上限額は最新情報の確認を
高額療養費制度の自己負担限度額は、2025年に引き上げが議論され、いったん実施が見送られた経緯があります。
今後変更される可能性があります。
最新の金額は、厚生労働省の公式サイトや加入先の健康保険の案内でご確認ください。
協会けんぽにお入りの方は、そちらの案内が分かりやすいですよ。
迷ったときは、加入先の健康保険窓口や市区町村に問い合わせるのが確実です。
まとめ|医療保険が必要かは自分で決める。選択肢を手に残しましょう
医療保険を今すぐ解約しましょう、というお話ではありません。
公的な制度でここまで守られていると知ったうえで、必要な保障の大きさを自分で決める。
それが大切なのです。
保険に入っていることが悪いのではありません。
知らないまま払い続けることが、もったいないのです。
まずはこの2つだけで十分です。
- 自分の高額療養費の上限額を調べる
- いま払っている保険料を、年額に直してみる
全部やらなくて大丈夫。
1つだけでも思い当たれば、それが第一歩ですよ。
手元に残したお金は、医療費にも、家族との時間にも使えます。
選択肢を、ご自身の手に残しておきましょう。
※ 高額療養費制度などの仕組みは見直されることがあります。最新の情報は厚生労働省などの公式サイトでご確認いただき、個別のご判断は専門家にご相談ください。

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