「ハガキは届いたけれど、数字がびっしりで結局どこを見ればいいのやら」——
そんな声を、本当によく聞きます。ねんきん定期便の見方が分からないまま、金額のところだけチラッと見て、そのまま書類の山へ。
これ、決してあなただけではありませんよ。
実はこのハガキ、「書いてあること」より「書いていないこと」のほうが大事なのです。
ねんきん定期便2026年版はいつ届く?誕生月に順次届きます

2026年版は1月から、誕生日の月に応じて順番に届きます。
毎年来るものですから、封を切らずに置いてしまう方が多いのも自然なことです。
引き出しの奥に、歴代の定期便が地層のように積み重なっていませんか。
この記事でお伝えする注意点は3つです。
- 書かれている金額は手取りではない
- 年金記録が漏れているかもしれない
- 「厚生年金基金」が忘れられている
気になるところだけ読んでも大丈夫ですよ。
ねんきん定期便の見方|時間がない方は裏面右下の「3番」だけ

ハガキをベリベリと全部開いて、裏面を見てください。
右下に太い青枠があります。
これが「老齢年金の種類と見込額(年額)」です。
ここに、1年間に受け取れる年金の目安が書かれています。
多くの方は100万円台、現役時代の収入が高かった方は200万円台になることもあります。
ひとつ大事な補足です。
この欄が「65歳時点の見込額」になるのは、50歳以上の方に送られる様式です。
50歳未満の方のハガキでは、同じ場所が「これまでの加入実績に応じた年金額」となります。
これは今まで納めた分だけの金額で、将来の見込額ではありません。
年齢によって意味が変わる、ここだけ覚えておいてくださいね。
その見込額は「65歳から受給した場合」の年金額です

書かれているのは、65歳から受け取ったらいくら、という前提の金額です。
年金は最も早くて60歳から受け取れます。
ただし減額され、その減った額が一生続きます。
反対に最大75歳まで遅らせることもでき、その分は増えます。
つまりこの数字は「あなたの年金額」ではなく、「65歳スタートを選んだ場合の数字」なのです。
注意点①:ねんきん定期便の金額は手取りではありません

年額180万円だから、12で割って月15万円ね。
——この計算、とても危険です。
理由は2つあります。
1つ目は、あくまで「見込額」だということ。
ハガキが届いたあとに退職された場合などは、実際の額が変わります。
2つ目は、税金と社会保険料(健康保険料・介護保険料)が天引きされることです。
天引き額が変わって振込額が動く方も多いので、振込日には金額を見るクセをつけたいですね。
年金に税金がかかるのはいくらから?118万円・168万円が目安

単身の方のざっくりした目安をお伝えします。
65歳未満なら年金額118万円以上、65歳以上なら168万円以上で所得税がかかってきます。
内訳は、公的年金等控除(65歳未満60万円/65歳以上110万円)に基礎控除58万円を足した金額です。
2025年から基礎控除が48万円から58万円に上がったため、従来の108万円が118万円になりました。
ただし2025年・2026年分は、所得に応じて基礎控除がさらに上乗せされる特例があります。
所得が低い方は基礎控除が95万円などになり、税金がかかり始めるラインはこれより高くなる場合があります。
また、日本年金機構から届く「扶養親族等申告書」の提出基準(65歳未満108万円/65歳以上158万円)は、まったく別の話です。
混ぜないようにしてくださいね。
あくまで概算ですので、詳しくは国税庁の公式サイトでご確認ください。
注意点②:あなたの年金記録、漏れているかもしれません
そもそもねんきん定期便が生まれたきっかけをご存じですか。
2007年に大問題になった「宙に浮いた年金記録」、約5,095万件です。
これを受けて「ご自身で確認してください」という趣旨で送られるようになりました。
前身の「ねんきん特別便」が2008年、定期便の全面送付は2009年4月からです。
それでも未統合の記録は、いまだ1,700万件台が残っています。
(件数は毎年更新されます。最新値は厚生労働省の公表資料をご確認ください)
一番お伝えしたいのはここです。
記録の照合は、自動ではしてくれません。
年金記録漏れの確認方法|「ねんきんネット」なら5分
ねんきんネットに登録すれば、ご自身の加入記録を確認できます。
氏名や生年月日などを入力して、5分ほどです。
ボクのYouTubeで聞いてみたところ、半数以上の方が「使ったことがない」という結果でした。
これはもったいないです!
記録漏れが多いのは、次の2つのパターンです。
- 転職回数が多かった方
- 結婚などで旧姓から名字が変わった女性
当時は手作業で記録を紐づけていたためです。
ご自身だけでなく、高齢のご両親の記録も見てあげてください。
生涯で受け取る額が数十万円から数百万円単位で変わる可能性がありますよ。
注意点③:ねんきん定期便に載らない「厚生年金基金」

「厚生年金」と「厚生年金基金」。
名前はそっくりですが、まったくの別物です。
ポイントは「基金」の2文字だけ。
似すぎているせいで、通知が来ても「厚生年金のことね」と思い込んで捨ててしまう方が多いのです。
企業年金連合会には、未請求のまま眠っている方が100万人超の規模でいるとされます。
未請求の理由は大きく2つ。
住所変更で請求書が届いていないケース。
そして、届いていても気づかず請求していないケースです。
10年以上前に会社勤めをされていた方は、加入していた可能性があります。
(件数や内訳は変動します。最新値は企業年金連合会の公表資料をご確認ください)
厚生年金基金に心当たりがあるときの調べ方|企業年金連合会
厚生年金基金は現在ほぼ廃止され、記録の管理は企業年金連合会に統合されています。
「加入していたかも」という方は、企業年金連合会に問い合わせるのが確実です。
ねんきんネットでも手がかりは確認できますが、記録漏れの可能性もあります。
両方を使うのが安心ですね。
なお、ハガキ版の定期便には基金独自の給付額は載りません。
ただし基金の代行部分は見込額の扱いに関わるため、様式によっては注記がある場合があります。
ハガキの記載を、一度よく見てみてください。
昔の勤め先から届いた封筒、どこかに残っていませんか。
年金の「5年で時効」は本当?受給の権利を正確に整理しておきますね

「5年経つと年金が受け取れなくなる」とよく言われます。
これ、表現としては正確ではありません。
年金を受け取る権利そのもの(基本権)は、請求すれば時効で消滅しない扱いです。
時効にかかるのは、各月分の支払いを受ける権利(支分権)です。
さかのぼって受け取れるのは、原則5年分までとなります。
つまり「記録が消える」のではなく、「さかのぼれる分が減っていく」ということですね。
それでも取りこぼす金額は大きいので、早く請求するに越したことはありません。
年金の制度や数字は毎年変わります
この記事の金額や件数は、執筆時点のものです。
所得税の控除額は2025年・2026年に特例があり、今後も見直される可能性があります。
未統合記録や未請求件数も毎年更新されます。
定期便の様式や記載内容も、年齢や年度によって異なります。
迷ったら年金事務所や「ねんきんダイヤル」に相談するのが確実です。
ハガキを持って行くと話が早いですよ。
最新情報は日本年金機構の公式サイトでご確認くださいね。
ねんきん定期便が届いたら今日からできる3つのチェックリスト
- ①裏面右下の太い青枠の年額を確認する(そのまま12で割らない)
- ②ねんきんネットに登録し、加入記録に抜けがないか5分だけ見る
- ③「厚生年金基金」に心当たりがないか思い出し、あれば企業年金連合会へ問い合わせる
全部やらなくて大丈夫です。
1つだけでも思い当たれば、それが第一歩ですよ。
まとめ|ねんきん定期便は金額を確かめるだけで終わらせないで
金額を確認すること自体は、とても良い習慣です。
悪いことではありません。
もったいないのは、そこで終わってしまうことなのです。
ねんきん定期便は「安心するためのハガキ」ではなく、「間違いや抜けを自分で見つけるためのハガキ」です。
書かれている金額は手取りではない。
記録漏れは自動では直らない。
厚生年金基金はハガキに載らない。
この3つを覚えておくだけで、受け取れるお金が変わる可能性があります。
長年こつこつ納めてきたお金を、1円も取りこぼさないために。
今年のハガキが届いたら、封を切ってみましょう。
不安なときは年金事務所へ。
相談は無料です。あわてなくて大丈夫ですよ。
※ 年金や税の制度は改正されることがあります。最新の情報は日本年金機構などの公式サイトでご確認いただき、個別のご判断は専門家にご相談ください。

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